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佐賀県医療センター好生館

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脳梗塞

手術療法

頚動脈内膜剥離術

頚部内頚動脈狭窄症とは?

頚部内頚動脈狭窄症は頚部の頚動脈分岐部の動脈硬化性粥状変化により血管の狭窄を生じる病態です。一般的に頚部頚動脈狭窄症は、症候性か無症候性かという点とその狭窄度で分類されます。症候性とは、狭窄症が原因で脳梗塞やTIA(一過性虚血発作;24時間以内に症状が全く消失してしまうもので脳梗塞の前兆として注意が必要)などを生じた場合をいい、無症候性とは、その狭窄による症状がないもの(たまたま見つかったもの)を言います。血管の狭窄度は、軽度(30-49%)、中等度(50%~69%)、70%以上を高度と分類されます。

頚部内頚動脈狭窄症になると                           

脳血流量の障害(血行力学的機序)をきたしたり、アテローム血栓が頭蓋内に飛んだりして(塞栓性機序)、重篤な脳梗塞を起こす原因となります。症候性、すなわち一度脳梗塞ないしTIAを起こしてしまうと、1年以内に再発する率は、5-6%と言われています。当然、再発の場合は前より重篤になり易いので予防が重要となります。また無症候性の場合(たまたま頚動脈エコー検査等で、頚動脈狭窄を指摘された場合)も、血流が障害されたり、血栓が飛びやすくなったりして将来脳梗塞を起こす確率が高くなります。狭窄率が50%を超えた場合は、専門医に診てもらった方がいいでしょう。60%以上狭窄しているこれらの危険性が増し、80%以上狭窄していると年間5%の確率で脳梗塞を起こすと言われています。そのため、重篤な脳梗塞を発症する前に、頚部内頚動脈狭窄症に対して適切な治療を選択することが必要となります。

頚部内頚動脈狭窄症に対する治療方法は?                         

抗血小板剤、抗凝固剤や降圧剤や抗コレステロール血症剤、糖尿病薬などの動脈硬化予防薬を併用した内科的治療、② 外科的治療(頚動脈内膜剥離術carotid endartectomyz: CEA)があげられます。内科的治療施行にもかかわらず、狭窄の程度が進行したり、アテローム血栓が頭蓋内に飛んでいる時には、当然重篤な脳梗塞を起こす危険性が高くなりますので、予防するために内科的治療だけでなく、外科的治療の検討が必要となります。脳卒中治療ガイドライン2009で、特に症候性頚動脈高度狭窄(70%以上)では抗血小板剤療法を含む最良の内科的加療に加えて、外科的治療を行うことが推奨されています。また大規模臨床試験からCEAに関しては、症候性の場合は70%以上の高度狭窄例、無症候性の場合では60%以上の狭窄で有効とされています。
我々の施設では、脳卒中ガイドライン2009に従い、過去6か月以内のTIAまたは軽症の脳梗塞発作で70%以上の狭窄病変が最適応と考えております。しかしながら短期間で急速に狭窄が進行している例や、脳梗塞急性期でも梗塞が短時間に再発(複数の塞栓が末梢の頭蓋内血管に飛んでいって血管を閉塞させる)するようなときには緊急でCEAを施行することもあります。

外科的治療方法とは?                     

標準的治療は頚動脈内膜剥離術(carotid endartectomyz: CEA)です。これは肥厚したアテローム(動脈硬化)を除去して、狭窄した頚部内頚動脈を広げて脳血流を増やす方法です。実際の手術手技は、全身麻酔下に頚動脈を露出し、一時的に結紮して血流を遮断した上で狭窄部分の血管壁を開き、肥厚したアテローム内膜を剥離除去し、再び血管壁を縫い合わせるというものです。血流遮断による脳梗塞を予防するために、手術中に脳波や脳血流計を用いて、脳機能をモニターします。脳血流低下が起これば、内シャンと(細いチューブで血液を脳に導くもの)を用います。手術合併症には全身麻酔に伴うもの、術創の出血(時に気道閉塞)、感染など一般的なもの他に、内頚動脈の急性閉塞、脳虚血、脳循環動態の変化、脳神経損傷の問題があります(脳梗塞の出現、脳血流量の増加、過潅流に伴う頭痛、痙攣、脳出血、喉頭運動障害、嗄声、舌運動障害など)。また本手術を必要とされる患者さまは虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症、不整脈など)を合併ないし、周術期に合併する頻度が高いといわれています。手術前に必ず循環器疾患の精査および治療を原則としています。

実際の手術の様子

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CEAにおけるの手術手技的なリスクについて  

症候性病変では6%以下、無症候性病変では3%以下のリスクでなければなりません。特に心疾患を始めとする他臓器疾患の合併や年齢などの全身麻酔のリスクもCEA手術のリスクを高める要因になります。CEAの手術リスクが高いと考えられたり、麻酔のリスクが高いと考えられたりする患者さんに対しては最近では頚動脈ステント留置術という血管内治療も行われています。これは大腿部からカテーテルを挿入して狭窄部に到達し、狭窄部でステントを拡張させ狭窄部の治療を行うものです。また狭窄部の脳側にはステント拡張した時に血栓が脳に飛んでいかないようにする傘状のものや風船状のプロテクティブデバイスという器材で血栓を捕獲します。

我々の施設における頚部内頚動脈狭窄症に対する外科的治療方法  

脳卒中ガイドラインに沿い、まずCEAの手術適応について十分検討し、上記の外科医の手術リスクを保証できないような例や全身麻酔のリスクが高い例などの高度リスク群に対して頚動脈ステント留置術を考慮することとしています。

バイパス術

症候性内頸動脈や中大脳動脈が閉塞、狭窄症を対象として、脳梗塞再発予防の観点から、頭蓋外動脈ー頭蓋内動脈(EC-IC)のバイパス術が行われることがあります。
アセタゾラミド脳血管反応性が低下している例では虚血性脳卒中の再発の危険性が高く、このような症例を対象とした共同研究(JET Study)の結果、外科的治療群が薬物用法群に対して有意に同側の脳梗塞の再発率を下げたとの報告されています。
このJET studyの結果をもとに脳卒中治療ガイドライン2009におけるEC-ICバイパス術の適応は以下の通りとされています。

  1. 内頸動脈系の閉塞性血管病変によるTIAあるいはminor strokeを3ヶ月以内に生じた73才以下のmodified Rankin Scale 1あるいは2の症例。
  2. CTあるいはMRI上一血管支配領域に亘る広汎な脳梗塞巣を認めず、脳血管撮影上、内頸動脈あるいは中大脳動脈本幹の閉塞あるいは高度狭窄例。
  3. 最終発作から3週間以上経過した後に行ったPETもしくは、SPECTを用いた定量的脳循環測定にて、中大脳動脈領域の安静時血流量が正常値の80%未満かつアセタゾラミド脳血管反応性10%未満の脳循環予備力が障害された例。

当館でもこの脳卒中治療ガイドラインに沿って、手術適応を決定してEC-ICバイパス術を行っています。

症例)

右不全片麻痺で発症した71才の男性で、頭部MRIで左前頭葉に小さな脳梗塞の所見が見られました。MRAでは左内頸動脈の閉塞と右内頸動脈の高度狭窄の所見を認めました。SPECTにて両側中大脳動脈領域の80%未満の血流低下とアセタゾラミド静注にて脳血流増加は10%未満で脳循環予備能の低下が見られました。左EC-ICバイパス術バイパスが行われました。右内頸動脈高度狭窄に対しては、のちに内頸動脈内膜剥離術が行われました。

 

mra_before.jpg

写真1) MRA 左内頸動脈は起始部から描出されていません。

 

spect.jpg

写真2 ) SPECT 単純SPECT(左側)では全大脳半球の血流低下が見られます。アセトゾラミド静注(右側)では後大脳動脈領域の血流上昇は見られますが、両側中大脳動脈領域の血流上昇は見られず、脳循環予備能の低下が見られます。

 

mra_after.jpg

写真3) 術後MRA EC-ICバイパス術が行われ、左浅側頭動脈から中大脳動脈が描出されているのが分かります。

 

脳神経外科部長 坂田修治

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