診療科案内
眼科
裂孔原生網膜剥離
網膜裂孔・円孔だけの時期であれば、外来でのレーザー治療のみの適応です。広がりのある網膜剥離を生じている場合には、範囲が拡大する前に、早めの手術が必要となります。手術方法は眼球の外側から治す網膜復位術と、裂孔形成の直接的な原因である硝子体を切除する硝子体手術の2つの方法があり、難治性と考えられる場合にはこの両方の手術方法を組み合わせます。2つの治療方法には、利点・欠点がありますので、網膜剥離の形や、部位・硝子体出血の有無によって治療法を選択して対応しております。
黄斑上膜(網膜前膜)
網膜面上に残存している硝子体皮質の上に眼内の細胞(網膜色素上皮・グリア細胞など)が増殖して膜を形成した状態です。歪みなどの自覚症状がなければ放置しておいてもかまいませんが、歪みが生じている場合には、ゆっくりと視力が落ちてしまいます。硝子体を切除して、網膜面上にとりついている膜を剥離する手術を行います。術後は歪みの軽減が期待され、視力が低下している場合には視力改善も期待できますが、6か月程度の間ゆっくりと回復します。
黄斑円孔
網膜面状に残存している硝子体皮質に力が加わることで、黄斑部に穴が開く病気です。網膜前膜を伴う場合もあります。視野の中心部が黒く欠けて見えて、その周囲は歪みを伴うことが多い疾患です。放置すると穴が拡大して、視力低下の原因になります。穴を閉鎖する目的で、網膜前膜と共に内境界膜という薄い膜を剥離し、gasを注入してうつぶせをすることで穴を閉鎖することができます。術後はうつぶせの姿勢で数日間過ごすことが必要になります。術後は歪みの軽減が期待され、視力が低下している場合には視力改善も期待できますが、6か月程度の間ゆっくりと回復します。
硝子体出血
網膜静脈分枝閉塞症や糖尿病網膜症に伴って眼内に出血を起こす病気です。硝子体切除を行うことで出血を取り除き、出血前の視力まで回復することが期待できる病気です。比較的早期に視力回復が期待できます。
糖尿病網膜症
糖尿病網膜症は、血糖が高いことで血液と直接触れる血管に影響が出る病気です 。そのため、血管からの血球の漏出である網膜出血や、血液成分の漏出による網膜浮腫などが起こり、視力を障害します。血管が詰まってしまうと、血圧の上昇などで簡単に破れてしまう新しい血管(新生血管)が形成されてしまいます。この血管形成を抑えるために、レーザー治療が必要となります。網膜浮腫を生じて視力が低下する場合には、薬物療法(ステロイドや抗 VEGF 薬注射)や硝子体手術が必要とります。新生血管が原因となる硝子体出血や増殖膜形成に伴う網膜剥離や黄斑部牽引、血管新生緑内障などの重症合併症をきたした場合は、硝子体手術が必要となります。
緑内障
緑内障は網膜で得られた情報を脳まで伝達する神経が障害され、その神経に一致する視野が障害される病気です。この神経が障害される原因としては、眼圧上昇に伴う直接的な、また、眼圧上昇に伴って目の循環障害がおこる間接的な原因が挙げられます。定期的な眼圧測定に加えて、視野を計測をすることが治療の基本とされます。最近の解析技術の進歩により、光干渉断層計によって網膜の神経の厚さを直接的に評価して、視野に変化が現れる前のごく初期の緑内障発見が可能となっています。治療方法は点眼薬や内服薬で眼圧を下降させることです。薬物で治療困難な難治性緑内障については手術が必要となります。緑内障手術はいくつか種類がございますので、相談いただけたら、それぞれの利点・欠点をご説明の上で治療法を選択します。
斜視
めがねやコンタクトレンズを使って、両方の眼で同じ様に焦点の合った像を見させる事(屈折矯正)が斜視の治療で一番大切なことです。とくに子どもの場合は、みかけの問題はもちろん、視力や両眼視機能の獲得が重要になるため、早期の治療が必要です。 光を曲げる性質を持つプリズムを使った特殊なめがね(プリズムめがね)を使うこともあります。 斜視角が大きな場合には手術療法が必要です。眼球周囲の筋肉を触り、位置調整を行います。佐賀大学病院と連携を取りながら適切な治療方法を提供することを心がけています。
眼瞼痙攣
当院では登録された医師のみが治療できる「ボツリヌス毒素療法」を行います。 まぶたや口の周りの皮下にうすめたボツリヌス毒素を注射して、緊張している筋肉を麻痺させる治療です。 治療効果は注射後 1 ヶ月ごろが最大で、3~6 ヶ月程度は続きます。その後は効果が弱まるため再度注射が必要となります。 全身に対する副作用はないため通院治療ができます。 まぶたの治療法は、眼瞼痙攣と片側顔面痙攣に対して治療しております。
※ボツリヌス毒素療法及びボトックス治療対象疾患(眼瞼痙攣・片側顔面痙攣・痙性斜頸)に関する最新情報はグラクソ・スミスクライン株式会社のサイトに紹介されています。
加齢黄斑変性
網膜中央部の直下に脈絡膜新生血管という異常血管が生じる難治性の疾患です。網膜浮腫を起こしたり、出血を繰り返すような活動性がある場合には、薬物治療(ルセンティス、アイリーアなどの硝子体注射)を行っております。病気が進行して網膜が変性してしまうと残念ながら治療方法は無くなります。喫煙が危険因子になりますので、定期的に検診を受けたり禁煙したりして気をつけてください。一方で、ビタミン C、ルテイン、亜鉛などの栄養素を含むサプリメントが、発症を抑えられるという報告もあります。 サプリメントのご案内も外来で行っております。
白内障
小切開超音波乳化吸引術を行います。アクリル眼内レンズを専用のインジェクターを用いて挿入することで、低侵襲の 2.4mm小切開で施行しています。粘弾性物質ビスコートによるソフトシェル法を使用し、手術中の角膜内皮障害を最小限に抑えるよう目に優しい手術を心がけています。トーリック眼内レンズを用いた乱視矯正にも対応するべく、トプコン社ウェーブフロントアナライザーを導入して角膜乱視の矯正精度を高めています。ご希望の方には、多焦点眼内レンズも取り扱っています。入院手術あるいは日帰り通院手術のどちらにも対応しています。
眼瞼下垂
眼瞼下垂の原因の多くは、加齢によるものですが、まれに重症筋無力症といった神経が筋肉へ指令を送る信号が遮断される抗体が原因となることがあります。まずは血液検査で、このような疾患を除外した後に治療対象となる方に眼瞼下垂手術を行います。治療対象の主なものは瞳孔付近までまぶたが下がり、視界の上方がさえぎられるほど下垂されておられる方です。手術方法としては、ほとんどの場合には皮膚切除術で対応可能です。切除部位は上瞼の近くか、眉毛の下の皮膚です。上瞼の皮膚を切除する場合には、縫合部が二重瞼に隠れるために、術後1-2か月で目立たなくなります。眉毛の下を切る場合も、眉毛のLineに隠れてしまいます。それでも治らない方には、眼瞼挙筋を短くする挙筋短縮術や、やはり瞼を挙げる働きがあるMuller筋を縫い縮める縫縮法(タッキング)で対応します、。
涙道疾患
涙嚢炎に伴う涙道閉塞症に対しては、関連病院と連携をとりながら対応しております。外傷後の涙小管断裂に対しては、形成外科と連携して、涙小管再建術を含めた眼瞼のきれいな再建を心がけております。先天鼻涙管閉塞症には、小児科と連携して鎮静下での涙嚢洗浄やブジーにも対応しております。
眼瞼腫瘍
眼科領域の腫瘍は少ないのですが、視界を妨げるような良性腫瘍の切除は対応可能です。悪性腫瘍に対しても、形成外科や九州大学病院腫瘍グループと連携しながら、治療対応した実績があります。