診療科案内
整形外科(脊椎外科)
診療内容
診療を行っている主な疾患は以下の通りです。
外傷
多発外傷に対して、外傷センターと協力し、多くの診療科にわたるチーム医療を行っています。
目指すのは、まず命を助けることです。次に間髪入れずに後遺障害を未然に防ぎ、早期の社会復帰まで視野に入れた治療を継続します。このためには入院から転院まで多くの職種が合同で関与することが必要です。
開放骨折に対しては、即時に緊急処置を行います。多くは創外固定という一過性に器械を装着して骨折部の安定化を図り治癒を促進します。その後、開放骨折には高率に合併する感染を抑制したのち最終的な手術を行います。この手順と最終手術の時期の見極めや手術手技が大変重要で豊富な経験が必要となります。
超高齢化社会を迎えて、転倒による骨折は大きな社会問題となっています。当院では可能な限り超早期に手術を行い、高齢者の早期生活復帰を図っています。当院では重篤な合併症がない限り一両日以内で手術を行います。
脊椎の障害
頸から腰までの背骨の異常によって、首の痛みや腰痛、さらには手足の痛みやしびれ、歩行障害、脊柱の変形などを生ずるさまざまな疾患の治療を行っています。
脊椎・脊髄疾患は、加齢に伴う変性疾患が多いため、高齢者が罹患する割合が高くなっており、高齢の方に脊椎手術を実施することが多くなっています。また、いろいろな合併症を有する患者さんに対しては、専門性が高く優秀な当院他診療科の協力により、以前なら手術ができなかった症例でも手術が可能になるケースが増えてきました。
当科では、こういった社会背景を考慮して、できるだけ体に負担のかからない低侵襲手術を導入しており、内視鏡手術や脊椎圧迫骨折に対する経皮的脊椎固定術や椎体形成術などを積極的に行っています。
また成人脊柱変形や脊柱側弯症に対する、難易度の高い手術も行っています。
低侵襲手術を含め脊椎疾患に対する治療を安全に行い、今後も、佐賀県の皆様に最新の医療を提供できるよう日々努力していきたいと考えております。
診療内容
腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎変性・分離すべり症、頸椎椎間板ヘルニア、頸椎症(脊髄症、神経根症)、後縦靭帯骨化症、黄色靭帯骨化症、脊椎圧迫骨折、脊椎外傷(脱臼骨折やCHANCE骨折)、成人脊柱変形(いわゆる腰曲がり)、脊柱側弯症など
脊椎手術について
手術治療は、器である頸椎・胸椎・腰椎およびその中に存在する脊髄・神経根に関するすべての疾患を対象としています。疾患の病因は、変性、外傷、感染、腫瘍など多岐にわたり、病態に応じた最善の手術を選択しています。脊椎・脊髄手術では、神経合併症を起こす危険性があるため、当科では積極的に顕微鏡や内視鏡を使用しています。2014年度より術中ナビゲーションシステムを用いた椎弓根スクリュー挿入を症例に応じて施行しています。これらの工夫により、より安全な手術を目指しています。また、当院では外傷センター経由の脊椎・脊髄損傷の患者様に対する治療も行っており、経皮的椎弓根スクリュー挿入を併用した低侵襲脊椎固定術(MISt)なども適宜施行しています。
内視鏡手術
腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、頸椎症性神経根症などに対して内視鏡を用いた手術をおこなっています。直径16mmの筒を手術部位に挿入して手術操作を行うことで、組織の障害を最小限に抑えます(図1)。手術による創が小さい(2cm程度)(図2)ことに加え、手術中・手術後の出血が少ないこと、手術後の痛みが少なく、早期から離床が開始できることなどが特長です。入院期間は1週間から10日程度となります。
図1
図2
経皮的脊椎固定術
従来の脊椎固定術は手術の傷が大きく、腰の筋肉を広い範囲で背骨から剥がして手術を行っていました。そのため術中・術後の出血が多く、また術後の腰痛も強いものでした。当科では、できるだけ切開や筋肉の剥離を小さくして(図3)神経の除圧操作を行うとともに、筋肉の間からスクリューを挿入することで、筋肉のダメージを最小限に抑えるような手術を導入しています(図4)。この方法により手術による出血が大幅に減少し、手術後の創部の痛みも軽減されるため、早期の離床とリハビリテーションを目指すことが可能です。
図3
図4
脊柱側弯症手術
おもに思春期に生じる側弯症は、成長とともにカーブが増悪する疾患です。カーブが大きなまま成人すると、一定の角度以上であれば成長がストップしても、その後年齢がすすむにつれカーブの増大が進行する場合があります。そのためなるべく短い手術範囲で、その後の人生における脊柱カーブの進行を抑制する手術が必要です。カーブの大きさや、カーブの種類によって必要とされる手術は異なりますので気軽にご相談下さい。
成人脊柱変形手術
脊椎の変性をベースとした成人脊柱変形(いわゆる腰曲がり)に対しては、腰椎前方固定術(OLIF)や骨切りを併用した、前方後方固定術を施行しています。おもに腰痛の改善や歩行障害の改善が得られます。ただし手術時間が長く侵襲の大きな手術ですので、どなたでも可能とは言えません。個々の症例に応じた手術を選択しています。
関節の病気
変形性膝関節症、変形性股関節症など日常生活に著しい支障をきたす変性疾患に対して、人工関節置換術を行っています。
股関節手術では、前方からの手術による人工関節手術が可能です。 日常生活では股関節屈曲(太ももを上げる方向)が主体であるため、後方からの手術では脱臼の危険性がのこされています。当院での方法は前方から関節包や筋腱を処理するため後方組織が温存され脱臼のリスクが大幅に軽減されます。その為、術後の日常生活では制限なく過ごしていただいています。
膝が歩くととても痛い、膝が変形してきた、正座ができないなどの症状がある方は、人工膝関節手術が必要となります。当科では通常の人工関節手術のみならず、条件が合えば痛い部分だけ(多くは膝関節の内側)を手術する方法も行っています。この手術は疼痛もすくなく、リハビリも早期に順調に進みます。
骨粗鬆症
人生百年時代と謳われていますが、骨に関しては60歳から70歳が寿命です。女性では60代、男性でも70代から急速に骨粗しょう症が進行します。脳と内臓が長生きしても運動器の屋台骨である骨が損なわれては、楽しい人生を全うすることが出来ません。当院では骨粗しょう症を診断し、適切な治療と指導を行い、かかりつけ医に紹介することを始めました。好生館の最先端の機器を利用して、かかりつけ医の協力の得ながら、楽しい人生を送ることを手助けします。