診療科案内
耳鼻いんこう科
診療内容
口蓋扁桃摘出術
主な対象疾患は慢性扁桃炎、扁桃肥大です。症状は繰り返す発熱、咽頭痛、いびき、無呼吸等です。手術を受ける方の年齢のピークは5,6歳の就学前ですが、幅広い年齢層に広がっています。全身麻酔下に舌の根元近くにある左右の扁桃を摘出します。手術の主な合併症は術後出血です。手術器具の変遷により術後早期の出血は少なくなりましたが、今もなお術後5日目以降の比較的後期に出血することがあります。平均入院期間は8日です。
内視鏡下鼻・副鼻腔手術
主な対象疾患は慢性副鼻腔炎、真菌症、術後嚢胞等です。近年高齢化の傾向にあります。最近は難治性の好酸球性副鼻腔炎の割合が多くなっております。内視鏡下に副鼻腔に詰まっている炎症組織、膿汁等を除去し、鼻副鼻腔の風通しをよくして炎症を起こしづらい形態に整えます。内視鏡を使わずに行っていた頃と比較すると術後の痛みもかなり少なくなり、以前手術を躊躇した方でも一度ご相談されることを勧めます。また、より短時間に安全、確実に手術を行うために、最新の医療機器を揃えており、手術の質向上に努めております。平均入院期間は7日です。
鼓膜形成術
主な対象疾患は、慢性中耳炎、鼓膜穿孔です。難聴の改善、耳漏の停止を図ることが主な目的です。以前のように耳後部を切開するのではなく、外耳道経由で鼓膜穿孔を閉鎖する手術であり、入院期間も従来法と比べると短くなっており平均3日です。
鼓膜チューブ挿入術
主な対象疾患は滲出性中耳炎、難治性(再発性)中耳炎です。滲出性中耳炎は小児と高齢者に多い疾患ですが、中耳炎は鼻と耳をつなぐ耳管の機能が悪いと起こりやすくなります。小児はこの耳管機能が未熟であり、さらに耳管開口部近くにアデノイドや口蓋扁桃があるため、アデノイド増殖症や口蓋扁桃肥大による耳管機能異常が起こりやすいという特徴があります。そのため、滲出性中耳炎手術はアデノイド切除術、口蓋扁桃摘出術と同時に行うことがしばしばあります。入院症例は全身麻酔下に手術を行う必要がある小児のみとなっています。ほとんどは日帰り手術です。成人は通常外来手術が可能です。
扁桃周囲膿瘍切開術
対象疾患は扁桃周囲膿瘍です。扁桃周囲膿瘍とは扁桃炎の重症型で、扁桃腺の周囲にまで炎症が及び膿瘍(膿溜まり)が形成されたものです。のどが腫れて食事がとれないほど痛くなり、適切に治療しないと窒息、敗血症等を起こし命に関わります。治療は、膿瘍に小さな切開を入れて膿を出し、抗生剤投与を行います。入院期間は平均6日です。
唾液腺腫瘍
唾液腺は唾を作る臓器で耳の下にある耳下腺、顎の下にある顎下腺、そして口の粘膜に広く点在する小唾液腺に分けられます。腫瘍は耳下腺に好発します。多くは良性腫瘍ですが一割程度は癌といわれています。耳下腺内には目や口、表情筋を動かす顔面神経が走行しており手術に際しては傷つけないように細心の注意が必要です。当科では顔面神経モニター装置を活用して顔面神経麻痺を起こさないように十分配慮しております。比較的高齢者に多く、入院期間は平均7日です。
突発性難聴
突発性難聴の症状は文字通り、突然片耳に発症する原因不明の高度の難聴です。原因が不明であるためいまだ確立した治療法はないのですが、本邦ではステロイドホルモン剤の投与が一般的で広く行われています。高度難聴の方、外来治療で改善が認められなかった方、外来治療では副作用などが心配である方などは入院の上、点滴で薬を投与することを薦めます。入院期間は平均6.5日です。
末梢性顔面神経麻痺
比較的高齢者に多い傾向があります。一部を除き、原因が不明なもの(ベル麻痺)と、帯状疱疹ウイルスが原因のもの(ハント症候群)の二つに大別できます。顔面神経は脳から頭蓋骨の細いトンネルを通って耳の下からでてきます。そこから、耳下腺の中を通って、まぶた、頬、口へとこれらを動かすための筋肉に向かって枝分かれしていきます。頭蓋骨のトンネル内において神経が炎症による浮腫(腫れ)を起こすために神経が機能しなくなり麻痺を起こします。脳卒中などの脳内に原因がある場合は中枢性麻痺といい、耳鼻科では取り扱っておりません。治療としては神経の腫れ、炎症を鎮めるステロイドホルモン剤、抗ウイルス剤の投与が一般的で広く行われています。麻痺が高度である方、外来治療で改善が認められなかった方、外来治療では副作用などが心配である方などは入院の上、点滴で薬を投与することを薦めています。