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黒岩 慶成

 研修医を一言で言い換えるなら、何だと思いますか。半人前?見習い?学生の延長?雑務係...? 考え方は人によって様々だと思いますし、研修する病院によっても、その位置付けは変わってくると思います。

 好生館で医師1年目の研修をして、感じたことがいくつかあります。

 まず1つ目は、想像以上に忙しいということ。4月などはとくに、医師として働くにあたって私の考えが甘かったせいもあるかもしれませんが、自分が考えていた以上に様々な仕事に追われる生活をしました。診察をする、カルテを書く、カンファレンスに出るなどといったことの他に、臨床実習では経験できない医師の仕事が山ほどあります。学生の頃には教えてもらえなかったことも、当たり前に任されるようになります。

 2つ目は、責任の重大さです。それを感じる最も顕著な場面が、夜間・休日の総合当直です。多種多様な主訴をもって病院を訪れる患者に対し、診療は基本的に研修医1年目と2年目の二人のみで行います。もちろん患者はやむを得ず夜間や休日に医療を求めてやって来るわけですから、それなりに重篤な病態であることもしばしばです。診察に見逃しはないか、検査オーダーは適切か、処方の選択に間違いはないか、本当にこの患者を家に帰していいのか等々、当直のたびに悩みは尽きません。

 3つ目は、研修仲間の大切さです。慣れない仕事に追われる時、失敗が精神に重くのしかかる時、上級医からの叱責に心が崩れそうな時、院内で同じ思いをしている同期がいると思うと、歯を食いしばってでも頑張らなければと、もう一度立ち上がることができました。

 真摯に取り組めば取り組むほど、悩むことも多いはずです。しかし、きつい時こそ仲間がいることを思い出させてくれる、そんな環境が好生館にはありました。残った仕事を片付けるために医局へ足を運べば、同じ状況の同期がいる。疲れきって寮に帰れば、飯に行こうと誘ってくれる先輩研修医がいる。研修医だけの医局があることや、研修医の多くが寮で生活していることは、ただ単に電カルが完備されている、ただ単に通勤が楽、といった以上の価値があると感じます。

 さて、最初の質問に戻りたいと思います。研修医を一言で言い換えるならば何か。それは、こと好生館においては、「戦力」。この言葉が一番しっくりくると思います。病院の誇る重要な戦力です。これはおそらく、私の思い上がりではありません。もちろん、戦場に例えるならば一歩兵にすぎないでしょう。しかし、それは成長が見込まれると言うことでもあり、熱心な指導を受けられると言うことでもあります。歩兵のいない戦場などないように、それだけ研修医が1人の医師として尊重されていると言うことです。

 これからの研修先を検討している方に対し、私の乱文がお役に立てたかどうかはいささか不明ですが、私が医師1年目の研修に好生館を選んだことを後悔する日は来ないと思います。少しでも進路決定の参考になれたならば、幸いです。

 そして研修でお世話になったたくさんの先生方、本当に有難うございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

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